名もなき毒

名もなき毒

名もなき毒

3年ぶり現代モノミステリ。これは本当に面白かった。久しぶりに「筋」が面白い小説を読みました。
うまいこと収束したなあ。絡み合ってたものが解れていく様に感嘆しましたよ。そしてこの人は本当に毎回いろんなことを調べあげてるなあと。
卒論を書いていた時に読んでた本の中に「人は夜の暗闇を恐れなくなった。しかしだからと言って妖怪が姿を消したわけではない。妖怪が生まれる闇とは人の内側にあるものだからだ」というような一節がありましたが、ふいにそれを思い出しました。夜の暗闇の中に恐怖を見出さなくなった代わりに、人間はより暗い闇を身の内に抱えるようになったのかもしれないなあ、と。
そしてその闇は他人や自分をも傷つける毒となる。闇と、そして毒とどうやって付き合っていけばいいんだろう。これはマジで名作。